自由経済がどのように世界を良くするか。

Coinbase CEOのアームストロング氏の寄稿した自由経済とデジタル通貨が発展に関するブログ記事をご紹介します。


デジタル通貨は世界をどう変えるか

デジタル通貨は経済的自由の拡大手段として、これまでにない有効性を発揮する可能性があります。経済的自由が拡大すると、私たちの生活に計り知れない影響が及びます。 たくさんの国が貧困から抜け出し、何十億という人々の生活がよくなり、世界中でイノベーションがかつてない速さで進むようになります。
本記事では経済的自由とは何か、それはなぜ重要なのか、デジタル通貨はどんな方法で現状を変えていくのか、といった点をご説明します。

経済的自由とは

経済的自由とは、ある社会の構成員がどの程度容易に経済に参加できるかを示す指標で、多数の要素で構成されています。例えば以下のような要素です。

  • 起業のしやすさはどうか
  • 財産権をしっかり行使できるか(自分の財産を守れるか)
  • 他国と自由に貿易できるか
  • 労働と事業に関してどんな規制があるか
  • 通貨はどの程度安定しているか
  • など

調査機関はいくつかあり、以下のデータはヘリテージ財団とウォール・ストリート・ジャーナルが公表したものです。2018年の一覧の中から上位と下位を抜き出してご紹介します。

経済的自由度に関する各国の順位。出典

2つの表に出てくる国の名前を見ると、経済的自由がなぜ重要なのかが感覚的につかめるかもしれません。しかしここでは別の見方をしてみることにします。

経済的自由はなぜ重要なのか

経済的自由は社会的成果を表す指標の多くと相関関係にあります。そう聞くとすぐに思い浮かぶのが、1人あたりの収入、平均余命、識字率といった数値の高さです。しかし経済的自由は意外な指標とも相関関係にあります。例えば以下のようなものです。

  • 最貧層10%の収入の多さ
  • 環境保護の度合い
  • 戦争や武力衝突の少なさ
  • 自分が幸せだと感じる人の数
  • 汚職や腐敗の少なさ

下表の中で赤い四角は経済的自由度が低い国を、緑の四角は経済的自由度が高い国を表しています。

出典

初めてこれを読んだ時、こうした事実があまり知られていないことに驚きました。 もちろん、相関関係があるからといって、両者に因果関係があるという証拠にはなりません。ですから、これだけで性急に様々な結論を出さないように気をつける必要があります。社会というものはとても複雑なものですし、ある国にあてはまることが必ずしも他の国にあてはまるとは限りません。それでもやはり、ここからはある重大な疑問が湧き上がってきます。経済的自由がもっと拡大したら、私たちの生活はもっとよくなるのではないでしょうか。

デジタル通貨が経済的自由におよぼす影響

以前は経済的自由に何らかの変化をもたらそうと思ったら、選挙に出馬するか政府に陳情するしかありませんでした。世界各国でそれぞれ1年かけてそんなことをしていたら、終わるまでに196年もかかってしまいますし、おそらくどの国でも1年では大した成果が得られないでしょう。
ところが、スマートフォンが爆発的に普及したおかげで、世界のほぼすべての国ですぐにでもデジタル通貨を使えるようにできる目途が立ちました。
では、デジタル通貨が使えるとなぜ経済的自由が得られるのでしょうか。以下にご説明します。

起業が容易になるから
何かアイデアを思いついたら誰でも数時間で世界中に顧客を見つけることができるので、代金回収の面倒が減り、事業の世界展開がしやすくなります。
財産権を行使できるから
現在は資産を安全に保管しておくことができない人、盗まれたり差し押さえられたりしてしまう人がたくさんいます。デジタル通貨があれば、誰もが自分のお金を自分で管理できるようになります(ブレインウォレットの記事参照)。そうした意味で、デジタル通貨は世界中にいる銀行口座を持たない人々の「銀行」としての役割を果たします。
自由貿易とグローバリゼーションが促進されるから
デジタル通貨は海外送金の際に強みを発揮します。デジタル通貨を使用すると海外の人とのお金のやり取り(融資を受ける、人を雇って仕事をしてもらうなど)に関する障害が減ります。
自由に契約ができるようになるから
イーサリアムのスマート・コントラクトを利用すると、契約締結のハードルが下がります。双方の当事者がどこに住んでいるか、弁護士を雇えるだけのお金を持っているかどうかは関係ありません。
経済的自由度の低い国からの脱出が促されるから
資産を持ち出して周辺国で使うことができると、移住がしやすくなります。デジタル通貨があると、あらゆる国に住む人が別の国でも経済活動をできるようになります。生活の切り替えにかかる費用が減るので、複数の国の経済が改善します。
汚職や腐敗が減るから
事業活動の監視機関や起業の仲介者が減るので、口利きや特別扱いを依頼する必要があまりなくなります。
安定した通貨を利用できるから
デジタル通貨は現状ではレートの変動がドルやユーロより大きいですが、変動幅は年々減っていて、今では一部不換通貨の水準に近づいています。デジタル通貨の安定度は今後数年のうちに世界に180強ある不換通貨の多くを上回ることになるでしょう。

デジタル通貨はまだ普及の初期段階にあります。しかし他のテクノロジーの多くと同様、いったん潮目が変われば、劇的な変化が生まれる可能性があります。

デジタル通貨の用途は今や様々に進化してきています(予測市場、少額決済、スマートコントラクト、送金、ゲームなど)。しかしデジタル通貨は2020年までに少なくとも新興国1ヵ国で劇的に普及し、その国で行われる取引の大部分を占めるようになる可能性があります。そうなれば、そこから急速に普及が拡大するでしょう。

まとめ

経済的自由度の世界平均は過去20年間でわずか3ポイントしか上昇していません(57%から60%)。正しい方向に向かってはいますが、そのスピードはあまりにも遅すぎます。

出典

しかしデジタル通貨が発明されたことで、経済的自由の世界的拡大が可能になりました。指数はおそらく今後10年の間に75%に達することでしょう。 経済的自由は現代社会で最大級の基底的問題で、その大きさは人工知能や量子計算、割安な再生可能エネルギーの問題に匹敵します。経済的自由が世界的に拡大すれば、世界最大の景気刺激策として、イノベーションを促進し、戦争を減らし、貧困層の最下層10%の生活を改善し、腐敗した政府を転覆し、人々の幸福感を増すという効果を発揮するでしょう。
本記事の創案の確認をお願いしたRose Broome、D. Scott Phoenix、John Yi, Erin Coppin、Adam White、Dave Farmer、Dan Romero、Fred Ehrsam、Nathalie McGrath各氏にお礼を申し上げます。

脚注
  1. 基底的問題とは、それを解決することで同じ階層に属する問題がすべて自動的に解決されてしまうような問題のこと。
  2. 米国は2008年の7位から2016年には11位に後退していますが、これは主に2008年の金融危機以降、政府の財政支出が増加したためです。
  3. 詳細はミッションとビジョンに関する記事参照。
  4. 世界の経済的自由を計測するには、各国のスコアにその国の人口の規模を掛け合わせた方がよいかもしれません。そうすることによって、自国よりスコアの高い国に移住する人がいた場合、もといた国の自由が改善しなくても、世界の経済的自由の高まりを反映できるでしょう。