クレイグ・ライト氏の真実

Bitcoin SVを率いるクレイグ・ライト氏は本当にナカモトサトシなのか?

Bitcoin SVのリーダーであり、ビットコインの生みの親であるナカモトサトシを自称しているクレイグ・ライト氏について知らない人は少ないだろう。クレイグ氏が本当にナカモトサトシなのかは今の所証明されていない。しかし、クレイグ・ライト氏に関する膨大な量の情報を調べていくと、一つだけはっきりとわかる事がある。

それは

クレイグ・ライト氏はこれまで沢山の嘘をつき、不正行為を行なっている。

という事だ。

先日、非営利のメディアのウィキリークスが、ツイッター上でクレイグ・ライト氏を名指しで「連続偽造犯」と呼んだ事を覚えている人もいるかもしれない。ウィキリークスは過去10年間の記事の正確さで100%という記録を持っており、バズフィードやフェイクニュースとは全く無縁の信頼性を非常に大事にするメディアだ。そのウィキリークスに「連続偽造犯」と呼ばれたクレイグ・ライト氏は一体何をしたのだろうか。

過去10年間一度も誤報を出した事のないウィキリークスに
クレイグ・ライト氏は名指しで「Serial Fabricator : 連続偽造犯」と呼ばれた。

決定的な証拠は無く、あるのは疑わしい偽造の数々

クレイグ・ライト氏は2016年12月にナカモトサトシを自称した事によって有名になった。しかし本人の約束した通りナカモトサトシである決定的な証拠が提示される事は無かった決定的な証拠の代わりにクレイグ・ライト氏は、公でない場において幾度か証拠の提示を試みただけだった。

それにも関わらず、クレイグ・ライト氏はビットコインキャッシュコミュニティでの発言権と影響力を獲得していった。これはクレイグ・ライト氏の意見が「ビットコインの1MBと言うブロックサイズは小さすぎる」というビットコインキャッシュコミュニティの意見と一致していた為だった。

その後も彼がナカモトサトシであるという決定的な証拠が提示される事は無く、見つかるのは疑わしい証拠の捏造の数々であった。ビットコインキャッシュコミュニティの中でも、クレイグ氏に関する疑惑や疑念の声は2017年時点で既に上がっていた。

判明している不正行為や偽造、偽装。

クレイグ氏は数々の不正行為や偽装工作を行なっていることが既に判明している。これから紹介するのはその中でも最も重要な、ナカモトサトシの存在そのものと関連するいくつかの不正行為や偽装工作である。

オーストラリア政府から金を不正に得る目的で、偽のビットコイン信託を捏造、その後不正が発覚し約570万豪ドル(約4億5000万円)の支払い命令。

クレイグ・ライト氏は2013年から2014年オーストラリア税務局(ATO)の減税制度を不正利用する為、偽のビットコイン信託を捏造し数百万ドルを不正に受け取っている。クレイグ・ライト氏はスーパーコンピューターの購入代金やソフトウェアライセンスの料金などの名目で370万ドル余りを不正に計上しATOの減税制度を利用し金を騙し取っている。この際クレイグ・ライト氏はATOから還付した税金の返金と罰金の支払いで合わせて570万豪ドル(現在日本円で約4億5000万円)の支払い命令を受けた。

オーストラリア税務局からの督促状。今の日本円に換算して4億5000万円程の支払いを命じられた。Coin-Exch Pty Ltdはクレイグ・ライト氏が所有していたDeMorganグループの子会社でDeMorganグループは他にDenariuz Pty Ltd and Cloudcroft Pty Ltdといった会社を傘下に置いていた。
 (Mr Sommerはクレイグ・ライト氏とパートナーだった弁護士事務所Clayton Utzの顧問弁護士)

この事件はこの後クレイグ・ライト氏がナカモトサトシを自称しメディアに登場する大きな動機の一つとなるが、これについては後ほどもう少し詳しく紹介する。

ブログポストの改ざん

クレイグ・ライト氏は2015年に自身の過去のブログ記事を改ざんしている。改ざんされたのは2008年8月のブログ記事で、改ざんがあったのは2015年。ビットコイン論文が発表される直前に、すでにビットコイン論文に関わっていた様に見せかける為の偽装だと疑われている。

2014: https://web.archive.org/web/20140602022658/http://gse-compliance.blogspot.com.au/2008_08_24_archive.html

2015: https://web.archive.org/web/20150525013625/http://gse-compliance.blogspot.com/2008_08_24_archive.html

左が2014年時点のブログ、右が2015年に改ざんされた後のブログ。
「I have a cryptocurrency paper out soon.」
(暗号通貨に関する論文をもうすぐ発表する)という文章が追加されている。

PGP鍵を改ざん

クレイグ・ライト氏のナカモトサトシ自称劇に先立って2015年12月9日に、クレイグ・ライト氏は先に述べた脱税疑惑でオーストラリア警察のコンピューター犯罪捜査部によって家宅捜索を受けている。奇妙な事にオーストラリア警察の家宅捜索と全く同日にWired誌Gizmodo誌がスクープ記事としてクレイグ・ライト氏とデイブ・クレイマン氏がナカモトサトシの正体であると発表した。(Wired, Gizmodo

Wired誌とGizmodo誌はスクープの数ヶ月前に匿名の人物からナカモトサトシに関する重大な情報としてハッキング又はリークされた情報を入手した。そこにはクレイグ・ライト氏がナカモトサトシである証拠の数々が含まれていた。その証拠の一つとして添付されていたPGP鍵に細工が施されている事が発見され、それがMotherboardによって報じられた。2008年に作成したとされる暗号鍵は捏造であり、日付が改ざんされていた可能性が高く、さらに作成時に2009年以降にしか存在しない技術が使われていた

またこのPGP鍵は2008年時点でMITの公開鍵サーバには載っておらず、実際には2009年以降に作成され2011年以降にアップロードされたものだった。

Wired誌とGizmodo誌への(クレイグ・ライト氏の元同僚とされる)匿名の人物による情報提供は、最初クレイグ・ライト氏へ口止め料を要求したが失敗した為に腹いせに暴露したとされている。しかし、証拠であるPGP鍵に細工が施されていた事から、本当はクレイグ・ライト氏の自作自演であり、本人が情報提供者なのではないかとの強い疑惑がある。

PGP鍵への工作が判明したあと、Wired誌Gizmodo誌の記者はナカモトサトシの正体はクレイグ・ライト氏であるとしたスクープ記事の内容を訂正、否定する記事(Wired, Gizmodo)を発表した。

Appeal to Authorityと題された匿名の人物によるMotherboardへの反論。
これもクレイグ・ライト氏自身が作ったのではないかとの疑いが持たれている。赤いマーカーはMeliburn氏によるもの、ここでもPGP鍵改ざんの痕跡を指摘している。

契約書、メールの偽造

2018年2月、デイブ・クレイマンの家族がクレイグ・ライト氏に対して100万BTCの所有権をめぐる訴訟を起こした。この訴訟に望む為デイブ・クレイマン側の弁護士は証拠として数多くの書類を提出している。その多くは上記オーストラリア政府の減税制度の不正利用を巡りオーストラリア政府を騙す為にクレイグ・ライト氏が捏造したものと疑われている

ATOに提出されたビットコインアドレス12hRmmSda9qSSEH656zBaKEbeisH6ZhdTmhはクレイグライト氏が管理するとされる50,000 BTC の入ったアドレス。ソフトウェア開発の為にデイブ・クレイマン氏に貸し出したとされているが、実際にはMtGoxが所有し、MtGoxが自社内部でコインを動かす際に利用していたアドレスだった。

ブログで署名を偽造

クレイグライト氏は、BBCへ出演しナカモトサトシを自称した後、自身のブログへナカモトサトシである事の証明として、実存主義の父とも呼ばれるフランスの作家、ジャン=ポール・サルトルがノーベル賞受賞を辞退した時の有名な言葉を引用して署名を行った。

“If I sign myself Jean-Paul Sartre it is not the same thing as if I sign myself Jean-Paul Sartre, Nobel Prizewinner”
「ジャン・ポール・サルトルと署名することは、ノーベル賞受賞者ジャン・ポール・サルトルと署名することと、同じ意味ではない。」

このジャン=ポール・サルトルがノーベル賞受賞を辞退した時の有名な言葉を引用し、クレイグ・ライト氏は自身のブログに
”If I sign Craig Wright, it is not the same as if I sign Craig Wright, Satoshi.”
「クレイグ・ライトと署名することは、クレイグ・ライト・サトシと署名することと同じ意味ではない。」
という言葉をナカモトサトシの所有する鍵を使って署名したと主張した。

しかし、ブログがアップされ数時間も経つとビットコインコミュニティから疑問の声が噴出した。クレイグ氏がブログで行ったナカモトサトシの証明はブロックチェーン上の誰でもアクセスできるナカモトサトシの鍵の一部を使っただけであり、公開されている情報でしか無く、暗号の専門家であれば誰でも実行可能なパフォーマンスであった。これは、秘密鍵でしか開かない郵便受けに例えるとすると、ライト氏は、サトシが既に秘密鍵を使って取り出した後のサトシの住所が書かれた封筒を、単に複製して見せた様なものだと言える。

先日ビットコインキャッシュ開発者のアモリー・セシェ氏が「自分がナカモトサトシである」と言うツイートを行ない、それを真に受けた人達から批判を浴びたが、これは単にこの偽造を揶揄したパフォーマンスだった

BlackNet論文の日時を偽装

クレイグライト氏はMetanetと言われるプロジェクトの前進であるとされるBlackNetの論文の日時を偽装し、自分がビットコイン論文を書いたように見せかけた。これに関しては当ブログで過去に詳細な記事を掲載した。

”Black Net”の研究論文を日時を偽装している疑いがある。

その他のクレイグ氏の自身がナカモトサトシであるとの主張に反する多くの疑問

インターネット上にはクレイグ氏の行なった捏造や偽装、嘘についていくつもの証言や証拠が集められた。Redditの有名なハンドル名「u/Contrarian__ 」氏がまとめた、クレイグ氏がナカモトサトシであるという主張に反する多くの疑問を以下にリストアップする。

文章の書き方の癖がナカモトサトシの書き方と全く違う。

技術的な内容についての無知。

クレイグ氏は2011年にbitcoinの事を”bit coins”と記述している。ナカモトサトシはBitとcoinの間にスペースを入れたことは一度もない。

2013年から2014年の間にMt. Goxで積極的にビットコインの購入とトレードを行なっている。

クレイグ・ライト氏は1BTCが1200ドルだった2014年の初期にMt.Goxで17.24BTCを購入している。

クレイグライト氏は自分は弁護士であり法律の専門家だと主張しているが、ナカモトサトシは法律の問題について質問された際、自分は弁護士ではないので専門家に聞くように答えている。

クレイグ・ライト氏は本人が弁護士免許を持っており弁護士である事を主張しているが、
ナカモトサトシは自分は弁護士では無いと発言している。

博士号を2015年に取得したと主張しているが、実際は2017年である。取得したのはコンピューターサイエンスの博士号ではない。

クレイグライト氏はビットコインはチューリング完全だと主張しているが間違い。

クレイグライト氏は数百に及ぶ論文を書いていると主張しているが、コンピュータサイエンスの博士がその殆どが剽窃であると批判している。

クレイグライト氏の持つパテントの多くは剽窃であり、有効かどうか非常に疑わしい。

クレイグライト氏の数学に関する多くの間違い。

クレイグライト氏はセルフィッシュマイニングは理論上も成立しないと主張。

ビットコインのCENT変数に関して理解していない。

楕円曲線暗号を理解していない。

初期のビットコインプロトコルがどうやって動いていたか理解していない。

マイナーに間違っていると証明されている馬鹿げた方法を推奨している。

他人のブログから技術に関する記述を盗用。

2017年セルフィッシュマイニングに関する論文のほぼ全てを Liu & Wangの論文から盗用。

セルフィッシュマイニングに関する議論の中で、常に「正の値」であるガンマが「負の値」になると発言した。

クレイグライト氏と働いていた人物がクレイグライト氏はナカモトサトシ足りうる程の技術力を持っていないと証言。

ナカモトサトシの発言とクレイグ・ライト氏の発言の整合性が取れていない事は、クレイグ・ライト氏自身が以前主張していたように、ナカモトサトシは複数人であるからかもしれない。しかしそうであるならば、今現在クレイグ・ライト氏があたかもナカモトサトシ本人であるかのように振る舞っている事は不誠実と言えよう。

クレイグ・ライト氏は以前は自分は”ナカモトサトシの関係者”であったと主張していたが、今は自分がナカモトサトシ本人であると強く主張している。

自称ナカモトサトシの真実

クレイグ・ライト氏がナカモトサトシである事を自ら宣言しBBCテレビカメラの前に現れたのはWired誌とGizmodo誌のスクープ記事とオーストラリア警察による家宅捜索があった2ヶ月後の2016年2月の事だ。これは一般的には「クレイグ・ライト氏は、家族や社員の名誉の為に本人の意思と反してメディアに無理やり引っ張り出された。」という話になっている。しかし、実際にはクレイグ・ライト氏はテレビカメラの前でナカモトサトシを自称すること事を条件に150万ドルを受け取っている。

The Satoshi Affair

この150万ドルと言う大金は誰が用意した物だろうか?クレイグ・ライト氏と「ナカモトサトシ自称」「特許」そして「一連の嘘と偽装工作」の奇妙な点と点が線で繋がる非常に重要な資料がある。イギリスで多くの文学賞にノミネートされた作家のアンドリュー・オハガン氏がクレイグ・ライト氏のナカモトサトシ自称を密着取材して書かれたエッセイ「The Satoshi Affair」である。以下はThe Satoshi Affairで描かれている内容を筆者が独自に集めた情報で補完したものである。

テレビ出演はPR会社を使ったキャンペーン

クレイグ・ライト氏が受け取った150万ドルは、カナダの国際送金会社「nTrust」と結んだ取引の一部であった。その契約内容はクレイグ・ライト氏が所有するグループ企業「DeMorgan」の所有する特許の全てを「nTrust:代表ロバート・マクレガー氏」に売却し、その際に条件としてテレビカメラの前でクレイグ・ライト氏がナカモトサトシである事を宣言し証明する事であった。nTrustは合計1500万ドル以上に及ぶ資金を用意、その資金を使いPRの為にロンドンを拠点とするマーケティング会社「Outside Organisation」と契約する。Outside Organisationはデビット・ボウイの広告戦略を30年間も行なっている伝説的な地位を誇る広告会社でセンセーショナルなメディア戦略を最も得意とする。他にもヴィクトリア・ベッカムやスパイス・ガールズなど、そうそうたるメンツのクライアントが並ぶ老舗のPR会社だ。

クレイグ・ライト氏がテレビカメラの前で自身がナカモトサトシであると宣言したのは、PR会社が入念に計画したキャンペーンの一部であり、数百万ドルの契約金とロンドンで研究室と助手の研究者を与えるという条件の代わりにクレイグ・ライト氏が承諾した取引の一部だった。オーストラリア警察の家宅捜索と全く同日に奇妙な事にWired誌とGizmodo誌がスクープ記事を発表したが、クレイグライト氏はその日からシドニーの自宅には帰らずロンドンへ移住している。このタイミングの良い逃走劇を手伝いロンドン移住への手引きを行ない、オーストラリア脱出を手伝ったのもnTrustだった。

このエッセイ「The Satoshi Affair」の元になった証言の数々は、nTrustが人気作家のアンドリュー・オハガン氏へ依頼してクレイグ・ライト氏本人へ密着取材で得たものだ。nTrustは人気作家アンドリュー・オハガン氏にクレイグ・ライト氏を取材させ、PRの一部として「ナカモトサトシの正体を明かす」センセーショナルな本を出版する予定だった。しかしアンドリュー・オハガン氏はクレイグ・ライト氏がナカモトサトシであると納得する事が出来ず、代わりにナカモトサトシ自称の真実のストーリーとして3万5000文字に及ぶエッセイを自分で出版した。

ナカモトサトシと特許を10億ドル以上で売却する計画

nTrustの所有する特許は子会社である「nCrypt」に譲渡される。nCryptの所在地は中南米の島国「アンティグア」にある。あのカルヴィン・アイル氏(Calvin Ayre)の住むアンティグアである。nCryptは「特許とナカモトサトシをパッケージにして10億ドル以上で売却する計画」で、実際にGoogleやUber、いくつかのスイス銀行に交渉を持ちかけていた。

アンティグアの男

カルヴィン・アイル氏の存在はThe Satoshi Affairの中でも非常にダークで秘密のヴェールに隠された存在「アンティグアの男」として描かれている。カルヴィン・アイル氏はオンライン賭博の「Bodog」を大成功させた実業家だが、同時に違法賭博とマネーロンダリングの疑いでアメリカ合衆国の捜査対象となっていた。2006年頃には既にアンティグアに逃亡しており、2012年にはアメリカ合衆国国土安全保障省によって起訴された。カルヴィン・アイル氏はアメリカ10大重要指名手配被疑者リストに入り、2017年に司法取引に応じ起訴が取り消されるまでの5年以上アンティグアで逃亡生活を送っていた。

Calvin Ayre氏はアメリカ合衆国国土安全保障省移民関税執行局の10大重要指名手配被疑者リストに入っていた。その後2017年には司法取引に応じ起訴が取り消されている。

nTrustのCEOロバート・マクレガー氏にクレイグ・ライト氏を紹介したのは、クレイグ・ライト氏と10年来の知り合いであるステファン・マシュー氏である。そしてステファン・マシュー氏は、以前はカルヴィン・アイル氏の会社「Bodog」で働いていた。nCryptはその後さらに「nChain」と名前を変えて行くが、事業の目的が「ナカモトサトシのブランドと特許」を主軸としている事は同じだ。

2018年11月のBitcoin CashとBitcoin SVのハードフォーク=ハッシュ戦争でクレイグ・ライト氏とカルヴィン・アイル氏のコンビは有名になったが、The Satoshi Affairによれば、遅くとも2014年にはカルヴィン・アイル氏とクレイグ・ライト氏は知り合っており、2016年2月のクレイグ・ライト氏によるナカモトサトシ自称劇は、オーストラリアでの脱税問題、ATOからの罰金支払の命令によって金銭的に窮地に立たされていたクレイグ・ライト氏と、ナカモトサトシブランドと特許に目をつけたカルヴィン・アイル氏の間で行われた取引の一部であった可能性が暗に指摘されている。

(クレイグ・ライト氏は少なくとも2010年以前からオンラインギャンブルに関係しており、カルヴィン・アイル氏との関係も2014年以前からあった可能性もある。)

ハッシュ戦争とその後

昨年11月のBitcoin CashとBitcoin SVのハードフォーク、ハッシュ戦争でクレイグ・ライト氏とカルヴィン・アイル氏が行なった一連の問題行動は批判されるべきだろう。

特に、リプレイプロテクションを入れない攻撃的なハードフォークを選び、従わない場合は51%攻撃を宣言し交換所への金銭的な被害を被らせると脅迫を行なった。結局そのような攻撃はなかったものの、暗号通貨市場全体の信用を失墜させる事にもなりかねなかった。そのような発言や行動に倫理的な問題がある事は間違い無い。

ハッシュ戦争の目的はBitcoin ABCチェーンを殲滅する事で、ハッシュ戦争によってBitcoin SVが本物のBitcoin Cashになると宣言していた。しかし、結果は異なりBitcoin SVがBitcoin Cashとして認められる事はなかった。Bitcoin SVが本物のBitcoin Cashになる事はなかったが、代わりにクレイグ・ライト氏とカルヴィン・アイル氏が自分達で100%コントロール出来るBitcoin SVという新しいチェーンを持つ事になった。

nChainのビジネスモデルはnTrustの頃と同じ「ナカモトサトシのブランドと特許」が主軸だが、この「ナカモトサトシのブランドと特許」に「Bitcoin SV」という自分達がコントロールする暗号通貨が加わった。当初の予定だった「ナカモトサトシと特許をセットにして会社を売りぬける」という計画は諦めたのかもしれないが、今はBitcoin SVを持つことになった。「ナカモトサトシのブランドと特許とBitcoin SV」がクレイグ・ライト氏とカルヴィン・アイル氏の当面のビジネス戦略の中心となった。

クレイグ・ライト氏とSilk Road

The Satoshi Affairには、クレイグ・ライト氏とSilk Roadに関する興味深い証言もある。Silk Roadの運営者であり、現在は終身刑で服役中のロス・ウルブリヒト氏とクレイグ・ライト氏はシドニーで会合を行なっており、二人の間でSilk Roadに関して何らかの協力関係があった可能性が指摘されている。Silk Roadへの非難を声高に叫ぶクレイグ・ライト氏だが、Mt.Goxへのハッキングで情報漏洩が起きた際、漏洩したデータにクレイグ・ライト氏とロス・ウルブリヒト氏の間に取引があった証拠となるデータが含まれている事を認めている。

Silk Roadを非難するクレイグ・ライト氏だが、Silk Roadの創設者ロス・ウルブリヒト氏と直接会っており、Mt.Goxを通じて金銭的な繋がりもあった可能性が指摘されている。

しかし、クレイグ・ライト氏とSilk Roadの繋がりについてはそれ以上は詳しくわかっていない。クレイグ・ライト氏のパートナーであった、デイブ・クレイマン氏は重い病気を患っていたが、同時にドラッグ使用者でもありSilk Roadと関わりがあった証拠もある。デイブ・クレイマン氏の死因は冠状動脈性心疾患であるが、解剖の際、血中に処方箋薬の他に少量のコカインが検出されている。

クレイグ・ライト氏はSilk Roadのロス・ウルブリヒト氏と関係があった事を認めている。

 

ナカモトサトシ現象

ナカモトサトシは人物の名前では無く、インターネット上の特定の場所に特定の期間存在した現象のようなものかもしれない。クレイグ・ライト氏とデイブ・クレイマン氏がビットコインの誕生とナカモトサトシ現象にどの様に関わっていたかは結局よくわかっていない。事実として確認出来るのはデイブ・クレイマン氏は既に死亡しており、今もクレイグ・ライト氏は沢山の不正行為を行い、虚言を吐き続けているという事だ。

・クレイグ・ライト氏は脱税行為を行いATOから570万豪ドルの支払い命令があった事

・死亡したデイブ・クレイマン氏の家族が「特許権」を巡ってクレイグ・ライト氏を訴えている事

これは事実である。

アンドリュー・オハガン氏がクレイグ・ライト氏を密着取材した記録を元に出版した「The Satoshi Affair」にはこういった証言がある

・クレイグ・ライト氏は罰金を支払う事が出来なければ逮捕される恐れがあった

・クレイグ・ライト氏はその当時支払い能力が無かった

・クレイグ・ライト氏は金銭的な援助を見返りにnTrust / nCryptと「特許引き渡しとナカモトサトシ自称」の取引を行なった

・nTrust / nCryptは「ナカモトサトシと特許」を売り抜ける計画だった

・nTrust、nCryptoそしてnChainは関連会社でありその背後にカルヴィン・アイル氏が関係していた

こうした事実や信憑性の高い証言の数々は、クレイグ・ライト氏やカルヴィン・アイル氏らが掲げる理念を素直に受け容れ難いものにしている。

もしクレイグ・ライト氏がナカモトサトシだったとしたら

早くからクレイグ・ライト氏の嘘と捏造の数々に気が付いていた、イーサリウムの創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、クレイグ・ライト氏がビットコインキャッシュコミュニティにとって危険であると警告し「排除」するべきだと公言してきた。

ヴィタリック・ブテリン氏はクレイグ・ライト氏がもし本当にナカモトサトシだったらどうするか?との質問にこのように答えている。

「もしクレイグ・ライトがサトシだという明白な証拠を見つけたとしたら、私のサトシに対する気持ちは変わるだろうが、クレイグ・ライトに対する気持ちは変わらない。」

もし万が一、クレイグ・ライト氏がナカモトサトシだったとしても、クレイグ・ライト氏が嘘をついている事に変わりないし、クレイグ・ライト氏に対する評価は変わらないという事だろう。

それに誰がナカモトサトシだろうと、もはやどうでも良い事なのかもしれない。

2019年3月20日(水曜日)