もう一人のナカモトサトシ

ビットコインを作ったナカモトサトシ、その正体が誰なのかを巡って今、一人の人物が注目されている。

スクロンティ

2018年の2月に「スクロンティ:Scronty」というハンドル名のユーザーがRedditに幾つもの書き込みを連続投稿した。

Bitcoin Orgins:ビットコインの起源」と題された書き込みの内容は膨大なビットコイン誕生までの記録で、それによると、ビットコインを作ったナカモトサトシの正体はクレイグ・ライト、デイブ・クレイマン、そしてスクロンティことフィル・ウィルソンの三人組のチームで実際にブロックチェーンの基礎となる発明を行ったのは自分自身だというものだ。クレイグ・ライト、デイブ・クレイマンの二人からオンラインギャンブルで使う電子マネーの開発協力を頼まれた自分がビザンチウム将軍問題を解いてしまったと主張している。

この文章の中ではクレイグ・ライト、デイブ・クレイマン両名の名前は伏字になっており、2と3として表されているのだが、フィル・ウィルソンのソーシャルメディアでの発言から、2と3がそれぞれクレイグ・ライト、デイブ・クレイマンを示す事は判明している。

彼はこれを後ほど本にする予定だという事だが。
この話は本当なのだろうか?

本人は証拠を隠滅

このストーリーの後半に詳しく書かれているが、アメリカで”LibertyDollar:自由ドル”という国から独立した通貨を作ったNotHausとう人物が”国内テロリズム”の罪で逮捕されて2011年に有罪判決が出てしまった。これによってフィルはビットコインと関わる事に非常に不安になり、当時40,000ドル分のビットコインとともに自分がナカモトサトシと証明できるようなデータは全て消去してしまったという。

phil_wilson

真偽の程は不明だが、ここに描かれている証言は、今までのナカモトサトシの正体をめぐる様々な憶測や断片的に欠けたパズルを埋め合わせるような、非常に興味深い情報だ。
ビットコインに興味がある人なら一読する価値があるだろう。

これを書いたフィル・ウィルソン氏はWin32プラットフォーム上でのアセンブリ言語と三次元グラフィックスやゲームのプログラミングに詳しいニュージーランド人で現在はiOSアプリの開発者という。


イントロダクションと彼がビットコイン開発に加わるようになった経緯を以下に簡単にまとめてみた。

90年代の初めにフィルは、ノーマン・マクレイという経済学者によって書かれた2024年リポートという未来の経済や社会の予測を書いた本を手に入れる。 その中に「CentroBank」というコンピュータで管理される通貨があり、第三世界の人達によってその国の通貨よりも良く利用されているという。

それを読んで以来、フィルは「electronic cash:電子通貨」に興味を持っており、本人は暗号の分野には進まなかったが、その技術が現在どれくらい進んでいるのか情報を探すため、暗号技術に関係するメッセージボードや、IRCチャットなどをよく見ていた。
2008年、フィルは暗号IRCに「友達と’デジタルマネー’を作るから誰か手伝って欲しい」というメッセージがある事を見つける。
誰かにアイデアを見てもらって、欠点や改善点を指摘して欲しいとの依頼だ。

暗号IRCには「そんなものうまくいくわけ無い」と言った否定的なメッセージが多く書き込まれていたが、いつか本気で電子通貨に取り組んでみたいと考えていたフィルは、ちょうど世界大恐慌が始まりかけていた時期であった事も重なってメッセージの主に連絡する。

依頼を詳しく聞いてみると、二人はオンラインギャンブルでちゃんと使える電子マネーを作りたいという事だった。
オンラインギャンブルを主催する会社は、勝負に負けた利用者達がカード盗難届を出し、支払いがされない被害が度々起こり、ユーザーも送金したお金がなんらかの理由で届かなかったり、カード会社がオンラインギャンブルとの取引を突然中止したりし不便だった。
その為に、オンラインギャンブルを主催する会社とプレーヤーがお互いに安心してお金のやり取りが出来る方法が必要だった。

デイブ・クレイマンとクレイグ・ライトの二人で論文とコードの作成をしていた。
クレイグ・ライトはこの時点で既に5年間、電子通貨を作ろうとしていた。

デイブ・クレイマンとクレイグ・ライトの電子通貨のホワイトペーパーを読んだフィルは、タイムスタンプが中央集権的なサーバーによって発行されている事を見つけ、これではアタックの危険を回避出来ないためタイムスタンプサーバーはP2Pで無いと実現は不可能だと伝える。
フィルは自分がアイデアを出すので新しく論文を書き直すならという条件で手伝う事になる。

目次は現在の所、以下の構成になっている。

  • 概要
  • ビットコインの起源
  • イントロダクション
  • 発見
    • 始まり
    • 手伝いの要請
    • リスト
    • 最初の繰り返し
    • 二度目の繰り返し
    • P2Pか破綻か
  • 発明
    • プロジェクト・プロメテウス
    • トランザクション
    • ハッシュキャッシュ
    • ビザンチン将軍問題
    • 意思決定機構
    • データ・チャンク
    • クロノス・スタンプ・サーバー
    • データ・チャンク・チェーン
    • 二重支払い
    • データ・チャンクの改名
    • ミサイル方式
    • トランザクション税
    • ゲーム理論
    • ナカモトサトシ
    • 論文の下書き
    • 暗号コミュニティのトロール
  • 実装
    • 命名
    • マイナーに動機を与える
    • 最大発行枚数
    • リリース日
    • SHA256を二重にする
    • ECDSA
    • ポート番号
    • ゲーム理論の心理学
    • ビットコインドメイン
    • 論文発表
  • 実行
    • SourceForge
    • ハル
    • 創世ブロック
    • 壊れてる
    • ネットワーク拡張
    • 51%攻撃
    • マルティ
    • 詐欺師達と狂信者達
    • 複数のハンドル名
    • ビットコインのシンボルとロゴマーク
    • ギャビン
    • スラッシュドット
    • 匿名オンラインマーケット
    • 期待外れ
  • 旅立ち
    • ビットコインのシンボルとロゴマーク #2
    • リクエスト
    • 祖父
    • ウィキリークス
    • 影の中へ落ちる
    • シルクロード
    • 迷惑な預かり物
    • 地震
    • NotHaus
    • 無くした預かり物
    • ギャビンのCIA訪問
    • シルクロードの野次馬記事
    • 追放
    • 解散
    • 彼らはもう、耳を貸さない
    • エピローグ

クレイグ・ライトは2015年にナカモトサトシを自称しメディアに登場した。結局、暗号鍵を使った方法で自分の正体がナカモトサトシだと証明する事は出来ず、一度メディアから姿を消したが、2017年頃から再び、BCH開発を行うnChainのチーフサイエンティストとして注目を浴びている。クレイグ・ライトは様々な状況的な判断からナカモトサトシに何らかの形で関わりがあった可能性はあるものの、ナカモトサトシでは無い可能性を示唆する声も多くあり、本人も事実を語る事は無い為に真相は謎のままだ。
フィル・ウィルソンによるとクレイグ・ライトがナカモトサトシである事を証明しようとして失敗したPGP鍵の日付が改竄されていたのは自分が細工したからであり、クレイグ・ライトが将来裏切った時の為にデイブ・クレイマンと二人だけの秘密としていたという事だ。本当なら驚くべき話だ。

その他にも、聞いたことの大変面白い話がたくさん語られている。

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ビットコインロゴマークのデザイン

  • ブロックチェーンの構造は3次元グラフィクスで使うバイナリ空間分割のBSP木から着想を得た。
  • ビットコインポート番号が8333なのは適当に選んだのではなく、’8333’はアスキーアートとしてブロックチェーンを表現している。
  • ビットコインの発行枚数2100万枚はSF小説「銀河ヒッチハイク・ガイド」に登場する、人生、宇宙、すべての答えである「42」から来ており、最初は4200万枚発行予定だったが、後からクレイグ・ライトがそれを半分にした。
  • ビットコインロゴマークのデザイン過程の詳細

フィル・ウィルソンは本当に彼の言うようにナカモトサトシの中の一人なのか、今注目が集まっている。

あなたはどう考えますか?

フィル・ウィルソン >  http://vu.hn/

ツイッター > https://twitter.com/_Phil_Wilson_