イーサリアムの重要な開発者Afri Schoedon氏がイーサリアムを離れる。

イーサリアム財団は今月17日に予定されていたネットワークアップデートを28日に再延期したばかりだが、ネットワークアップデート「コンスタンチノープル」をめぐって再び岐路に立たされている。

イーサリアムの重要な開発者の一人、コンスタンチノープルへのアップデートでも重要な役割を果たすAfri Schoedon(アフリ・ショードン)氏がイーサリアムを離れる事になってしまったからだ。Afri Schoedon氏はイーサリアムの”Lead Architect : 設計主任“という肩書きだった。

Afri Schoedon(アフリ・ショードン)氏

「論破してみてください。」結果 > 炎上

今回の問題の発端は、Afri Schoedon氏が2月15日にポストしたツイートの内容だ。

”Polkadot delivers what Serenity ought to be. Change my mind.”「Polkadot(ポルカドット)はSerenity(セレニティ)が提供すべきものを提供できる。論破してみてください。」

問題となったAfri Schoedon氏のツイート

このツイートによってソーシャルネットワーク上での攻撃対象となり炎上状態になった結果、Afri Schoedon氏は「コンスタンチノープル」のアップデートを数日後に控えた状況でイーサリアムの開発から離れてしまった。

「Afri Schoedon氏はソーシャルメディアを辞めた訳ではない、イーサリアムと関わる事を辞めるだけだ。これ以上自分の時間を無料で奉仕する気は無い、これからは自分の好きな事をしていく。」とコメントし、イーサリアムの開発から離れる事を報告した。 連絡先としてmight-not-reply@5chdn.coとテレグラムのアカウントのみを残し、Gitter、Skype、Discord、Slack、Wire、Twitter、Redditなど、SNSでの活動は休止している。

なぜツイートは炎上したのか? - Polkadot vs Serenity 

Serenity(セレニティ)とはイーサリアムが計画しているイーサリアムの最終アップデート又はイーサリアム2.0とも呼ばれる大型アップーデートだ。このアップデートでイーサリアムはPOSへの移行を行う。

イーサリアム2.0とも呼ばれる
大型アップデートのSerenity(セレニティ)

対してPolkadot(ポルカドット)はイーサリアムクライアントの開発も行うParity(パリティ)が開発するマルチチェーンプロトコルだ。

Afri Schoedon氏は「Polkadot vs Serenity」を煽るつもりは無かったとし、ツイートの本当の意図はPolkadotとSerenityは違うものだということを説明する為だったとしているが、ソーシャルネットを中心としたコミュニティは本人の思惑とは異なり炎上状態になってしまった。https://breakermag.com/exclusive-afri-schoedon-on-his-contentious-split-from-ethereum/

Afri Schoedon氏とParity、Polkadot

問題を複雑にしているのはAfri Schoedon氏がParityに所属している事だ。ParityはPolkadotを開発している。その為に「コンスタンチノープル」が延期しているのは、Afri Schoedon氏が競合するPolkadotを優位にする為に、イーサリアムの開発を意図的に遅らせているのでは無いかと疑念を持つ人々が以前より存在し、今回のAfri Schoedon氏のツイートに対してSNSで過剰反応が起きたという事だ。Afri Schoedon氏はPolkadotには関わっていないと主張している。

Parity
Afri Schoedon氏が所属しているParity

さらに根深い問題

Parityは過去に提供していたイーサリアム用のウォレットにバグがあり、Parityのウォレットでマルチ・シグネイチャーを利用していたユーザー(多くはICOプロジェクト関連)の資産を凍結する事故を起こしてしまった。又、ParityのICOプロジェクトであるPolkadotも1億4000万ドルを調達。PolkadotもParityのマルチ・シグネイチャー・ウォレットを利用しており、イーサリアムがアクセス不能になる被害を受けている。https://jp.techcrunch.com/2017/11/08/2017-11-07-a-major-vulnerability-has-frozen-hundreds-of-millions-of-dollars-of-ethereum/

この事故はdevops199と名乗る10代のコンピュータギークがParityのマルチ・シグネイチャー・コントラクトを学んでいた際に偶然引き起こしてしまった。本人に悪意は無かったものの、このバグによって総額1億5000万ドル〜3億ドル程度のETHがアクセス不可能になってしまった。https://hackernoon.com/yes-this-kid-really-just-deleted-150-million-dollar-by-messing-around-with-ethereums-smart-2d6bb6750bb9

devops199はParityのマルチ・シグネイチャー・コントラクトを学習していた際
偶然にも利用者の資産を凍結してしまった。

救済案EIP-999と投票操作疑惑、そして陰謀論

イーサリアムは過去にもDAO事件でスマートコントラクトのプログラム上のバグによりETHを盗まれている。その際イーサリアムはハードフォークを行い、DAO事件の被害者を救済した。同時にハードフォークに反対するグループがイーサリアムクラシックを誕生させた。

イーサリアムクラシックはDAO事件の被害者を救済する為のハードフォークに反対する人達によって作られた。

このParityの事故も失われたコインへのアクセス権(コイン自体はある。)をオーナに復元させる救済案がイーサリアム改善案(EIP−999)として提案されている。EIP−999はDAO事件の救済時のようにハードフォークの必要は無く、パッチを当てる事で凍結された資産にコインのオーナーがアクセスできるようになると言う。ParityはこのEIP−999改善案へ賛否投票を行ったが、投票結果は「反対」多数で否決された。 https://jp.cointelegraph.com/news/eip-999-why-a-vote-to-release-parity-locked-funds-evoked-so-much-controversy

反対派は、この改善案を行う事はParityの利益にしかならず、分散型通貨の開発のモラルと反するという主張だ。更にAfri Schoedon氏がEIP−999改善案の承認状態を勝手に変えようとしていると信じているコミュニティのメンバーも存在する。

Parity及び、Polkadotの創設者はイーサリアムの共同創設者で元イーサリアムCTOのギャビン・ウッド氏だ。Serenityと Polkadot は競合すると信じる人たちの中にはこれをヴィタリック・ブリテン vs ギャビン・ウッドの縮図と捉え、開発の遅れはギャビン・ウッド派による陰謀で利益相反行為だと信じている人達もいる。https://www.trustnodes.com/2019/01/26/polkadot-the-ethereum-2-0-or-the-mighty-race-vitalik-buterin-v-gavin-wood

イーサリアムの共同創設者で
イーサリアム元CTOギャビン・ウッド氏

同じ悲劇を繰り返さない為に。

イーサリアムコミュニティのリーダー達は「ある人々に対して批判があるのは理解できるが、コミュニティが過剰反応している事の方が損失だ」とコメントし、SNSが炎上し誹謗中傷や人格攻撃が収まらず、能力のある開発者を失ってしまった結果に落胆している。コミュニティのリーダー達は「コミュニティ内でもっと礼儀正しいコミュニケーションを取るべきだ。そうでなければ将来同じ悲劇が繰り返されるだろう」と警告している。https://coinspice.io/news/leaked-ethereum-foundation-documents-show-growing-rift-before-pending-fork/

2019年2月25日(月曜日)