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October 23, 2025
世界には数百種類の法定通貨と何万もの暗号資産がありますが、ビットコインは発行上限が2,100万枚と決められています。
序文 ビットコインは、オープンソースで許可を必要とせず、ピア・ツー・ピア(P2P)で取引できるプログラム可能なマネーです。その総供給量は2100万コインに厳しく制限されており、変更することはできません。このネットワークはP2Pで構成されており、取引(トランザクション)は中央銀行のような仲介機関を介さずに、ユーザー同士が直接行ないます。これらの取引は暗号技術(クリプトグラフィー)を用いてネットワーク上のノード(参加者のコンピュータ)によって検証され、「ブロックチェーン」と呼ばれる公開された分散型台帳に記録されます。 ビットコインについて学び始めると、多様な側面が次々と明らかになり、その探求は魅力的なものとなるでしょう。本記事では、ビットコインの目的、誰がコインを生み出しているのか、それが本物のお金なのか、といった基本的な疑問に加え、ビットコインの購入方法や安全に保管するための実践的なアドバイスについても解説します。 ちなみに、欧文表記の「Bitcoin」はプロトコル、ソフトウェア、およびネットワーク全体を指し、「bitcoin」はそのネイティブな貨幣資産を指します。 ビットコインの起源 ビットコインは、「サトシ・ナカモト」として知られる謎の人物またはグループによって公開されました。これは史上初の暗号通貨(仮想通貨)であり、その詳細は2008年10月28日に公開されたホワイトペーパーで説明されています。物理的な現金は本質的にP2Pでの取引が可能ですが、それをデジタル化することは非常に困難でした。サトシ・ナカモトの天才的な発明は、既存の技術やプロセスを組み合わせることで、第三者に依存することなくデジタル通貨の「二重支出問題(double-spending)」を解決した点にあります。 サトシ・ナカモトの正体は現在も不明であり、2011年には姿を消しました。その後、ビットコインの開発は有志の技術者によって引き継がれ、拡張・改良が行なわれています。したがって、ビットコインには単独の指導者はおらず、CEOのような存在がいなくても成長し、発展していけるといえるでしょう。 どのように機能するのか? ユーザーがビットコインを送受信すると、その取引はネットワーク上のノードに送信されます。各ノードはこの取引データを受け取り、その正当性を検証します。検証が完了すると、その取引は「メンプール(Mempool)」に追加され、ネットワーク内の他のノードにも伝播されます。メンプールとは、承認待ちの有効なトランザクションを一時的に保管する場所です。 その後、マイナー(採掘者)がメンプール内に保管された取引をグループ化し、ひとつの「ブロック」を作成します。通常、マイナーは取引手数料の高いトランザクションを優先的に選択します。各ブロックには「ブロックヘッダー」「トランザクションカウンター」、および取引情報(トランザクションとそのハッシュ)が含まれています。 マイナーは、次のブロックをブロックチェーンに追加するために競争します。計算能力(ハッシュパワー)がもっとも高いマイナーやマイニングプールが成功する可能性がもっとも高いですが、これは完全に決定的なものではありません。ビットコインの取引は「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」という合意形成アルゴリズムによって承認され、新しいブロックが追加されます。PoWでは、マイナーはネットワークが定めた目標値よりも小さい有効なハッシュを見つけなければなりません。この作業に成功したマイナーは、新たなビットコインを「ブロック報酬」として受け取ります。これは新しいビットコインが発行される仕組みでもあります。 各ブロックは、直前のブロックと暗号的に結び付けられることで、ブロックチェーンと呼ばれる取引記録の鎖が形成されます。この記録は改ざんできない仕組みになっており、あるブロックのデータを変更しようとすると、その後のすべてのブロックを変更する必要があるため、事実上改ざんは不可能です。 重要な点として、ビットコインのプロトコルは取引ルールを定義し、PoWがそのルールをどのように適用するかを決定します。 PoWは「ビザンチン将軍問題(Byzantine Generals Problem)」(第三者に依存せずに二重支出問題を解決するための学術的な課題)を解決するもっとも安全な手法のひとつと考えられています。 なお、ビットコインの仕組みを詳細に理解しなくても利用することは可能です。インターネットを使う際に、その技術的な仕組みを知らなくても問題がないのと同じです。しかし、基本的な仕組みを理解することで、ビットコインがなぜ重要なのかをより深く認識できるでしょう。 なぜ、ビットコインは革命的なのか? ビットコインの技術は「信頼を必要としない経済システム」を可能にし、国境を越えた金融取引を仲介者なしで完結できる仕組みを提供します。従来の銀行や決済システムは「信頼」に大きく依存していますが、ビットコインは第三者を介さずに二重支出の問題を解決し、検閲耐性(Censorship Resistance)、改ざん不可能性(Immutability)、分散性(Decentralization) といった特性を維持することができます。 このような仕組みにより、政府の管理から独立した通貨システムが実現されました。お金と国家の分離を達成したのは、歴史上初めてのことです。ビットコインは、国家の権力や金融システムのあり方を根本的に覆す可能性があるため、政府やその影響を受けたメディアがビットコインに関する誤情報、恐怖、不信感(FUD: Fear, Uncertainty, and Doubt) を拡散しているのも事実です。 ビットコインは、以下のような特性をもつことで、従来の金融システムと異なる価値を提供します。 デジタルの希少性(Digital Scarcity) 2100万枚という供給上限により、価値の保存手段として機能する。 検閲耐性(Censorship Resistance) 誰でも、いつでも、どこでも利用でき、特定の個人や団体が利用を制限することができない。 決済の最終性(Settlement Finality) 取引が確定すると、元に戻すことができず、取り消しや差し押さえができない。 特に、決済の最終性はまだ過小評価されている機能のひとつです。これは、クレジットカードや銀行間決済(SWIFTなど)といった従来の決済システムに代わる有力な選択肢となります。 例えば、従来の決済システムでは最終決済まで最大6カ月かかる場合もありますが、ビットコインの取引は通常10分から数時間以内に完了します。このスピードと決済の確実性こそが、ビットコインの強みのひとつなのです。 ビットコインは何に使われるのか? 長期的な貯蓄手段 ビットコインの価格変動の激しさは、利益を求める投資家の関心を引き付けてきました。多くの人が最初は「利益目的」でビットコインを購入しますが、時間が経つにつれてその可能性に魅了され、手放さなくなります。こうした傾向が続くことで、ビットコインはより安定したネットワークとなり、資産としての健全性が高まっています。 トレーディング(取引) 価値をもつすべての資産と同様に、ビットコインは近年もっとも取引される資産のひとつとなっています。初心者でも取引を始められるツールが豊富に存在し、多くのトレーダーがビットコインの価格変動を利用して利益を得る方法を学び、これを主な収入源としています。一般的なトレーダーの目標は、法定通貨(円やドル)での資産増加ではなく、ビットコインそのものの保有量を増やすことです。 インフレ対策(価値保存手段) ビットコインは長期的なインフレヘッジ(インフレ対策) としての役割を強めています。法定通貨は時間とともに購買力を失う傾向がありますが、ビットコインはその希少性、技術革新、耐久性という特長により、インフレの影響を受けにくい資産として機能しています。 海外送金 仲介者を排除し、国境を越えた決済を可能にすることで、ビットコインは送金手段としての役割を拡大しています。特にライトニングネットワークの活用により、迅速かつ低コストでの送金が可能になりました。エルサルバドルでは、2021年にビットコインが法定通貨として採用され(2025年1月に撤廃)、同国のGDPの24%を占める海外送金市場で活用されています。今後、他国でも国際送金の試験的な活用が進むと考えられています。 担保 分散型金融(Decentralized Finance:DeFi) の成長に伴い、ビットコインは担保資産としても利用され始めています。これにより、住宅ローンの担保・借り換え、その他の金融サービスにビットコインを活用する動きが出てきています。従来の金融サービスを提供する機関にとってはまだ不透明な領域ですが、暗号資産を支持する人々の間ではすでに広く実用化されています。 決済手段 レイヤー2(L2)プロトコルの開発により、ビットコインのスケーラビリティ(処理能力)問題が解決されつつあります。これによって、より高速で安価なオフチェーン決済が可能になりました。代表的な技術として、ライトニングネットワークとリキッドネットワークがあります。 […]